2016年2月17日水曜日

2016年 独りで新規WEBサービスを開発・運用した際の知見

かなり参考になるので、記憶用に転載
http://qiita.com/haminiku/items/711cbdb894d1d6839e3e?utm_source=Qiita%E3%83%8B%E3%83%A5%E3%83%BC%E3%82%B9&utm_campaign=ebc7bbd46e-Qiita_newsletter_192_1_27_2015&utm_medium=email&utm_term=0_e44feaa081-ebc7bbd46e-33029237

私が新規WEBサービス立ち上げ時に取り組んだ内容についてWEBエンジニア向けにまとめた記事です。
例えばNginxの設定でHTTPヘッダーが正しく設定されているかを確認できるGoogleDevelopers PageSpeed Insights を知っていると大変有利です。もちろんPageSpeed Insightsを知らなくてもWEBサービスを公開・運用可能ですがユーザに意図せず不利益を与えていたり、知らず知らずのうちにモバイルフレンドリーでないとGoogleから検索ペナルティを加えられている可能性があります。この記事は独りで新規WEBサービスを立ち上げた際のノウハウと取り組んだ内容について記述しています。

1. 概要(5行くらいで)

  • スマホ対応は必須。トラフィックの50%はスマホから発生する。
  • 速度は武器!速いサイトはそれだけで価値がある。
  • SEOの内部対策は内部リンク整備とPageSpeed Insightsのみで大丈夫。
  • SEOの外部対策はGoogle Search Consoleに登録するだけで大丈夫。GoogleとYahooから十分な検索トラフィックが発生した。
  • それなりに結果でた

2. 丁寧に施策を実施すると結果は付いてくる

2015年12月17日のサービス公開から3週間で1日のPVが2800件まで上昇しました( ՞ਊ ՞) ✌
スクリーンショット 2016-01-05 11.14.10.png
スクリーンショット 2016-01-05 10.49.26.png

3. 開発着手前の設計

開発着手前の設計段階で考えておくこと。
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3-1. スマホ対応

スマホからのトラフィックは増える一方です。私のサイトだと61% はスマホからのアクセスでした。PC版とスマホ版では表示領域が大きく異なります。同じサイトデザインだと、どうしてもどちらかに無理が発生します。スマホ対応するための3つの手法を紹介します。
  1. ディスプレイ幅によってCSSを切り替える(レスポンシブWEB)
  2. UserAgentを見てWebフレームワーク側で動的にテンプレートを出し分ける
  3. URLを分ける
以前2. のテンプレート切り換え方式で開発した結果、フロントエンドのHTML実装が2度手間になり大きく生産性が落ちた経験がありました。1,2,3全て行ったことがありますが、Bootstrap3 を利用した1. のレスポンシブWEB対応が一番楽に無難に簡単に実装できると思います。
最後にGoogleウェブマスター向けブログ の記事を貼っておきます。
■ Google 検索結果をもっとモバイル フレンドリーに
Google では、4 月 21 日より、ウェブサイトがモバイル フレンドリーかどうかをランキング要素として使用し始めます。
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2015/02/finding-more-mobile-friendly-search.html
■ Google がお勧めするスマートフォンに最適化されたウェブサイトの構築方法
http://googlewebmastercentral-ja.blogspot.jp/2012/06/google.html

3-2. サーバ構成と維持費を考える

サーバ維持費が必ず月3000円以下になるように構成しました。サーバ費用を抑えるために転送量による従量課金が発生しないクラウドサービスを選択しました。
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3-3. 負荷の観点でサーバ構成のスケールする計画を立てておく

次の2つの観点で負荷が掛かったときのスケールアウト計画を立てました。
■ APPサーバのCPUが100%で張り付いたとき
ロードバランサを導入して、APPサーバの台数を1台からN台に増やす
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■ DBサーバの容量が不足したとき
クラウドサービスなので、追加でお金を払って再起動すればディスク容量が増やせる。

3-4. APPサーバのCPU性能を100%引き出す方法について考える

リバースプロキシの話です。Nginxを利用することが一般的です。たとえばCPUが4コアのサーバでCPUの性能を100%引き出すには4以上のHTTPワーカーを立ち上げる方法が一般的です。ユーザからのHTTP request をワーカーへ振り分けるためにNginxを利用しました。

3-5. ログイン/セッション機能は必要か考える

ログイン/セッション機能は脆弱性の温床です。ハッキング問題が発生して夜も眠れなくなる前に対策しておきましょう。ログイン/セッションを利用する場合は、オレオレ実装は我慢して標準でセッション管理機能を搭載した最新版のWEBフレームワークを利用すると無難な対策になります。

3-6. やらないことリストを作る

独りで開発しているとリソースはまったくもって足りません。あれもこれもと寄り道しているといつまでたっても完成しないのである程度見切ってしまうことが必要だと思います。自分の場合はこんなやらないことリストを作成しました。
  • 1PV0.1円くらいなので、月10万PV突破するまでマネタイズは考えない
  • 得意ではないページデザインは頑張らない
  • jsとcssのMinifyは後で追加する
  • 画像圧縮は後で追加する
  • ログ機能は後で追加する
  • 死活監視機能は後で追加する
  • サーバ最適化設定は問題が起きてから着手する

3-7. 類似サービスを調べる/デザインを参考にするサイトを決める

類似サービスにはどんな機能が存在するのか調査して開発する機能を精査しました。また私はデザインが得意ではなかったので、PC版とスマホ版でそれぞれデザインを参考にするサイトを決めておきました。例えばスマホ版はQiitaを参考サイトとして、迷ったらちょくちょくデザインや機能を真似て実装しました。

4. 開発

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開発は一番楽しい部分です。慣れしたしんだ絶対に作りきる自信がある手堅い言語とフレームワークを利用して開発するか、まったく新しい言語とフレームワークにチャレンジするか。ワクワクしますね。迷ったら日本語ドキュメントがたぶん日本で一番豊富なRuby on Rails を使うことをオススメします。Railsには本番用のイケてる設定が最初から付いてるし、jsやcssのminifyもコマンド一つでやってくれたりと至れり尽くせり感があり、他のフレームワークより1歩も2歩も未来にいるなと感じます。人間様が気分よくプログラムするための...というRubyの格言を見事に体現した存在です。
自分はセッション管理機能が必要なかったので、PythonのFlaskで開発しました。具体的な内容は別記事にまとめています。

5. 負荷試験

1秒に1リクエスト捌けたら1日で最大8万PV捌けます。負荷試験中に実際にサイトにアクセスしてみて問題なくブラウジングできるかの観点でも確認しましょう。負荷はapache benchコマンドを利用して負荷を掛けると簡単に掛けることができます。
100並列で1万リクエスト分の負荷試験
# 100並列で1万回負荷試験(この設定をよく使っていました)
ab -n 10000 -c 100 http://example.com/

5. 速度を改善しよう

レスポンス速度遅延とユーザの離脱率には相関があります。早いサイトはそれだけで価値があります。

5-1. レスポンス速度を改善する

200ms以内にレスポンスを返すべきでしょう。個人的にはWebサービスはデータ肥大化で速度劣化していくものなので公開時は50ms以内を目標にすべきだと思います。応答速度の計測はApacheBenchコマンドで確認可能です。

5-2. 静的コンテンツをブラウザキャッシュ

画像データ, css, js といったファイルは動的に変化しないのでユーザのブラウザにキャッシュさせると、2度目以降の転送が省略されページ描写速度が高速化します。HTTP通信時のHEADERにCache-Control: public と Cache-Control: max-age=XXXXXXXXXsec を付与すればブラウザ側でキャッシュしてくれます。Nginxなら設定にexpires 30d; と設定するだけで大丈夫です。

6. SEO対策

SEO対策が成功すると、GoogleやYahooからより多くの検索トラフィックが発生してユーザの目に止まる機会が増えます。SEO対策と書いてありますがGoogle様は優秀です。良いコンテンツを作れば評価されます。SEO対策の多くはユーザビリティの向上に繋がる施策も多いため積極的に取り組みました。

6-1. PageSpeed Insights でページを改善

Google Developerで提供されているサービスです。使い方はURLを入力するだけ。指摘された項目を修正していきましょう。
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6-2. クローラー最適化する

全てのコンテンツへリンクは繋がっていますか?リンクが切れていると検索エンジンのクローラーが辿れなくなるため検索Indexに登録されません。

6-3. HTMLヘッダー設定

トップページには、この3つのMETAタグを設定しましょう。META KEYWORD は取り組みたい人だけ取り組めばいいと思います。
HTMLヘッダー設定(トップページ)
<!-- サイトの正式なURLを伝えるmetaタグ -->
<meta name="Identifier-URL" content="http://www.example.com/" />

<!-- ページの要約を伝えるmetaタグ(検索エンジンに表示される) -->
<meta content="My Web Service" name="title">
<meta content="このサイトはMy Web Serviceという名前でほげほげー" name="description">
HTMLヘッダー設定(その他のページ)
<!-- サイトの正式なURLを伝えるmetaタグ -->
<meta name="Identifier-URL" content="http://www.example.com/" />

7. コピーサイト対策

魚拓ではありませんが昔サイトを全コピーされたことがあるので個人的には必須の項目です。コピーサイトが発生してからでは遅いです。導入はjs入れるだけでok。副次効果としてIP直打ちでアクセスされた際も正しいURLにリダイレクトされます。jQueryでホスト名を取って設定値と異なっている場合は特定ページにリダイレクトする仕組みです。

8. 検索エンジンへサイトを登録する

準備完了しました。いよいよサイト公開です。Google Search Console にサイトを登録すれば数日でGoogleで公開されます。Googleでsite:http://your.site.com/ と入力して検索すれば登録されているか簡単に確認できます。

8-1. Yahooには登録しない

Google Search Consoleに登録すると、勝手にYahooからも検索トラフィックが発生するので、何もやらなくて大丈夫だと思います。
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9. 運用する

メモ程度で構わないので運用日誌を書いておくと、1ヶ月後に輝きます。誰にも見せなくていいので簡単に書いていこう
運用日誌
2016/1/4 09:00 自動更新機能が3日止まっていることを確認
2016/1/4 09:30 自動更新機能を深夜に1日1回再起動するように設定した
2016/1/4 19:50 レコメンド機能をリリース
2016/1/4 19:55 アクセス障害5分 pip install pytz忘れ
2016/1/5 22:00 とある機能のページでアクセス障害3件発生。バグ修正した

10. 独りで開発を進めるための開発手法

独りで開発する際の問題の多くは、プランナーと開発者が同じ人物であることによって引き起こされていると感じています。
プランナーはどんどんやりたいことを提案するのですが、開発者のリソースが不足して開発が止まってしまったり、仕様が決まってないまま開発を進めた結果、試行錯誤と手戻りを繰り返しすことになってしまいがちです。
この問題を完全に解決することはとても難しいです。私は簡単な開発タスクリストを作成して機能毎に開発優先度を割り振ることでこの問題の解消を図ってみました。プランニングタスクと開発タスクを出来るだけ分離しないと、めんどくさくなって途中で挫折してしまうことが多いです。
開発タスクリスト
# ToDo(やること)
論理削除する機能
クローラーがrobots.txtにアクセスしてエラー出てる
/tmp/log/ にログ吐くのを/var/logに変更する
サイトの死活監視ツールを開発

# Done(対応済み)
バグ:メインコンテンツとレコメンドコンテンツで重複が発生している
次へボタンを付ける
トップ画像がいけてないので差し替える
CSSバグ:トップページの右上の黒い正方形を消す

11. 開発して便利だったツール

作ってよかったーと後々思ったコマンド

11-1. deployコマンド

1コマンドでdeployできるコマンドです。中身はsshでめっちゃ頑張っています。
deploy.sh
ssh -l root conoha "date"
ssh -l root conoha "cd /hoge && git pull origin master"
# webサーバ再起動
ssh -l root conoha "/usr/bin/supervisorctl -c /etc/supervisord.conf restart gunicorn"

11-2. 本番テストコマンド

実機確認めんどうだったので作りました。deployコマンドに組み込んでいます。

11-3. 画像圧縮変換ツール

pngを同名のjpgに一括で変換するツールです。PILを使ったこちらの記事が参考になると思います。

11-4. WEBサーバ死亡時にSlack通知ツール

これまだ作ってなくてToDoに入ったままです。cronで実行してサーバ落ちてたらslackで通知したい...

12. さいごに

新規WEBサービス構築には幅広い知識が必要です。裏を返すと、やりきれれば失敗したって必ずWEBエンジニアとして良い経験が得られるはずです。一緒にがんばりましょう!

2016年2月16日火曜日

起業はアイディアと忍耐力

http://blogos.com/article/160613/


日本と中国の圧倒的な違いの一つに起業に対する意識があります。1分に8社、これが中国の起業のペースで年間100%という起業数の成長率はもちろん世界一で2位のイギリスの2倍だとか。

そういえば中国では従業員の定着率が悪いことが有名ですが、会社や国家が面倒みてくれるという安心感がないからこそ、自分の身は自分で守るという発想が体に染みついているのでしょう。ここバンクーバーでも中華系のビジネスは大変活発ですが、ビジネスをする人、お金を出す人が別々の役割を担っているように見えます。こんなビジネスをしたいといえばお金を持っている人が投資をし、投資家はそのリターンを期待し、起業をする人はビジネスで夢を見る、ということでしょうか?このあたりの流れはアメリカのエンジェル投資家に似ており、日本の弱点とされる部分であります。

日本で起業といえば商店街に店を出す、といったことが多いかと思います。仲間達がマンションの一室に雑魚寝で頑張って面白い商品を作り上げたという話は最近聞かないか、はじけるようなヒットが出ていない気がします。たまに聞くのが日本はビジネスのニッチ(隙間)がない、と言われます。どれを考えても誰かが既に先鞭をつけている、ということでしょう。その為、皆、同じようなビジネスでごくわずかの差の勝負をしているような気がします。

例えば日本に限らず、今や世界中どこにでもあるラーメン店。ある意味、起業しやすい環境があります。スープは自分でできなければ買ってくればよい、麺は製麺所、メニューは限りがあり、特殊な技術も必要なく、あとは需要があるところに店を出せばよい、という流れかと思います。確かにミシュランの星がつくほど市場も深くなってきているのですが、起業という意味ではもっと他に切り口はないのかな、という気がします。

絶対安定のビジネスをするには他人が入り込めない技術、能力、参入障壁があればよいとされます。ここで私のバンクーバーのレンタカー事業の場合をご紹介しましょう。

まず初めに事業参入の為、役所に許可を求めたところ、意外に厳しくコントロールされており、他のレンタカー会社の許認可や位置関係をつぶさに検討し、ようやくもらった営業許可はたった3台分。

次に車を購入し、自動車保険を買ったところ、何と年間一台100万円以上。どう考えても利益なんか出ません。ただし2年以上の事業経験があり、5台以上だとレンタカー保険を購入でき、65%引きと安くなります。しかし3台しか許可がないと逆立ちしてもこれをクリアできません。そこで立てた戦略はどうせ赤字だから初めは2台でスタートし、2年の事業経験を積む一方で、役所と交渉し、まず、5台の許可を取得する交渉を進めました。これはうまくいき、半年ぐらい交渉して5台まで許可になり、あとは事業経験を積む中で車を一台、また一台と増やし忍耐強く我慢をし続けたのです。

なぜ、ここまでするかといえばこのハードルを抜けると他人が参入できない絶対的な権利が確保できるのです。許可と保険という二つのハードルを超えるために赤字を最小限に食い止め、その二つを達成した時に一気に花咲くことは容易に想像できました。その間に顧客を増やし、レンタカー事業の存在を目の前のホテル客や近隣の集合住宅の住民に営業します。特に近隣住民の半分はセカンドホームオーナーで年のうち一時的にしか滞在しないため、車を所有していません。その為、必要な時に必要なだけ借りられるレンタカーは非常に便利なのです。

では、今はやりのカーシェアリングとの競合はどうしているのか、といえば実はカーシェアリングの場合、カナダ国外に出られず僅か50キロ先のアメリカ国境を越えられません。また、走行距離制限と車の車格から基本的に街乗り仕様でウィスラーやオカナガンなど観光地に1-2泊でドライブといった使用には全く適しておらず、価格もうんと跳ね上がるようになっています。つまり、市場はカーシェアリングとレンタカーの使い分けにようやく気が付いてきているのです。

4月から弊社所有のマリーナ施設の自主運営が始まりますが、ここでもレンタカー需要を発掘できる自信があります。それは船はかならずどこかに目的を持って出かけ、通常1週間から長ければ1-2か月は出てしまいます。その間、空いたスペースを外から来た別の船に1日単位で貸すしくみになっています。外から船で来た人は陸地のことは不慣れです。そこで我々がレンタカーを含めたパッケージをオファーするという仕組みです。

ビジネスはこうやって繋げていくと加速度がついてきます。従業員何千人の上場会社とは全然違うアプローチですが、市場と需要はこうやって生み出していくものだと思います。

日本で需要がない、新たな起業ネタがない、というのは発想の切り口が乏しいことはあるでしょう。どうしても他の人をみて、自分もやろうというスタイルになりがちで独自の思想に欠如します。ここはアメリカや中国と比べて競争力が劣る気がします。ただ、正直申し上げると日本のビジネスは価格に対する繊細度が高すぎて価値よりも価格というところが大きすぎて北米の様に展開しにくいことも事実ですが。

私が若者は一度は外の空気を吸うべき、と主張するのは海外にいる人たちの発想の仕方を学んでほしいと思うのです。日本の常識ばかりにとらわれずこんな展開の仕方もあるんだ、ということに気が付いてもらえればと思います。

では今日はこのぐらいで。

2016年2月11日木曜日

元自衛隊メンタル教官が教える 「折れてしまう」原因は、ストレスではなく◯◯だった

俺もこれに近い状態になったので、気を付けよう。

http://news.livedoor.com/article/detail/11156259/

蓄積疲労は3段階に分けられる(『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』より) 

  2015年12月から50人以上が働く事業所に義務化された「ストレスチェック」。年1回、労働者のストレス状態を調べることで、労働者のメンタル不調を事前に防ぐのが目的である。それほど、働く人の心の不調が社会問題化しているということでもある。

 では、実際にどういう原因で、うつ病など心が折れた状態になってしまうことが多いのか。長年、自衛隊のメンタル教官として、多くのカウンセリングや心の不調予防策を実施してきて、『自衛隊メンタル教官が教えてきた 自信がある人に変わるたった1つの方法』(朝日新聞出版)の著者である下園壮太さんにお話を伺った。

*  *  *
 筆者は長年、自衛隊のメンタルヘルスの現場で仕事をし、昨年定年退官した。ご想像のように、自衛官は過酷な任務を与えられることもある。そんな厳しい状況の中でも心が折れずに任務を遂行できるようにメンタル面のサポートをするのが筆者の役目だった。

 同じ厳しい環境下の勤務でも、折れる人と折れない人がいる。その差は何なのだろう。

■「折れる」には2つのパターンがある

 ここでは「折れる」ことを、結果的にある仕事や職をやり遂げられない状態に陥ることと定義しよう。実は「折れる」にも、2つのパターンがあることに注意するべきだ。

 1つ目は、中レベルまでのストレス状態で「折れる」場合。

 中レベルとはみんな苦しいが、それを我慢してなんとかやっている、やれている状態。現代社会で働く人々のほとんどが、この中レベルのストレス状態の中で仕事をしていると考えていい。この状況で「折れる」人は、一般的には、責任感がない、意欲がない、能力がない、小さなことで悩み傷つく、人に援助を求められないなどの特徴があるだろう。

「折れた状態の人」をたくさんケアしてきた私の経験でも、確かに半数は、このイメージの通りだろう。こういう人へのケアは、挫折したつらさを理解すると同時に、厳しい社会で生き抜いていけるような、社会人として必要な考え方や仕事の仕方を教えることが重要だ。

 ところが、残りの半分は、能力があり、責任感と意欲があり、少々の挫折にはへこたれず、困ってもすぐに他者の援助を受けられる、そんな「折れそうもない人」が折れているのだ。

 これが2つ目の、高レベルのストレスで「折れる」場合だ。高レベルになるには、強度と時間が関係してくる。中レベルのストレスでも、それが長く続けば高レベルになってくると考えてほしい。

 高レベルで折れる人には特徴がある。それは、中レベルのストレスでは「優秀」とされていた人材が、突然折れてしまうことだ。

 自衛隊には様々なレベルの訓練があるが、心身ともに強いストレスを与える訓練が多かったため、私がメンタル面の安全係となり、訓練開始、訓練中、訓練後のメンタルチェックとケアを担当することになった。

 ある隊員は日ごろの勤務や能力を買われ、特別に推薦されて、数カ月にわたるこの厳しい訓練に参加していた。前半の厳しい訓練をトップクラスで終了し、その時の面接でも、「全く問題ありません」と答えていた。

 私はそのロボットのような受け答えが気になり、訓練指揮官にその旨を伝えたが、指揮官は「彼は、部隊でも極めて優秀ですし、これまでの訓練もみんなを引っ張っていますから心配はいりません」ということだった。

 ところが、訓練も後半に入って、一山超えたころである。その隊員が突然いなくなってしまったのだ。スタッフが必死に探し出し、私が面接をしてみると、いわゆる「うつ状態」に陥っていた。当然のことながら、訓練を外され、しばらく休養することになってしまった。

 このように、中レベルのストレスでは高いパフォーマンスを上げ、涼しい顔をしていた人が、ある時突然不調に陥るのが高レベルストレスでの折れ方の特徴の一つだ。心身の不調のこともあれば、行動面でおかしくなることもある。

 自衛官、警察官、役所の職員、教員など、まじめに勤務してきた人が痴漢や窃盗などを働くことがあるのは、このパターンが多い。「折れる」という言葉が持つ前後の連続性のなさは、この2つ目の場合のほうがより鮮明に感じる。

 では、なぜ優秀な彼らは、このように突然「折れて」しまうのだろう。

■ストレスにやられるのではなく「疲労」にやられる

 人は緊張すると疲労を感じないで仕事をすることができる。特に中レベルまで「よくできる人」の中には、疲労を感じない技術を高めてきている人が多いのだ。

 中レベルまでのストレスは、問題解決力で何とかうまくこなせる。その時にエネルギーも使うが、それを「感じない」ように対処する。これが優秀な人の一つのパターンになっていることが多い。

 その人が、高レベルのストレス状態に置かれるとしよう。
 
 ストレスの程度にもよるが、例えば震災のような大きなショックや昼夜の逆転が続き、困難な決心を伴う作業の連続でも、2~3カ月までの間なら、本来の問題解決能力で、表面的な業務はうまくこなせるだろう。

 ところが、その間に「疲労」が蓄積していくのだ。そして疲労がある段階に達すると、体から脳に「これ以上動くな。弱っているからこれ以上の作業を命ずる人を警戒せよ」という指令が出るようになる。意思とは関係なく、気力と集中力が低下する。すると本来の問題解決力が発揮できなくなり、トラブルが増え、さらに疲労がたまるという悪循環に陥るのだ。

 本来のその人なら周囲に助けを求めることもできるが、この状態になるとイライラや猜疑心が非常に強くなり、簡単に援助も求められなくなる。いつもの彼とは違う状態になってしまうのだ。私はこれを「別人化」と呼んでいる。

 そして優秀だった彼が、突然業務を投げ出すなどの「折れる」という状態になってしまうのだ。

■人は疲れるという当たり前のことを意識する

 軍隊では、「人は疲れる」ということを常に意識するように訓練する。ちょうど長距離ランナーが、まだのどが渇いていなくても、定期的に水分を補給することを訓練するのと同じだ。

 まず、軍隊では、「睡眠」と「水分」をとることを強調している。どちらも緊張しているとつい忘れてしまうことだ。

 強制的に8時間睡眠と6時間睡眠をさせるグループを作り2週間後に比較したところ、6時間睡眠グループでは、酩酊と同じぐらいの能力の低下が観測された。米軍などでは、任務中でも少しでも余裕があるときは、交代で積極的に昼寝をすることを推奨している。

 ストレス解消の一つに、「楽しいこと」をするという手段を持っている人は多いと思う。ゲームや酒、スポーツなどが多い。ただ、結果的にそれが睡眠不足につながっているとしたら、そのストレス解消法は、高レベルストレスには通用しない方法だということを知っておかなければならないだろう。

 ところが中レベルのストレス状態までに、よく使っていたストレス解消法を、高レベルのストレス状態で急に手放すというのはかなり難しい作業だ。そこで、日ごろから「睡眠を意識した生活様式」を訓練しておくことをお勧めしたい。

 質の高い睡眠のためには、夕方に軽い運動をする、入浴して体を温める、寝る前に明るい液晶画面を見ないなどの方法が知られている。自分に合うものを取り入れてみてほしい。

2016年2月6日土曜日

飛行機の翼を曲げたり折ったりする翼の耐久性試験ムービーあれこれ

http://gigazine.net/news/20160127-airplane-wing-test/



飛行機に乗って窓際の席に座っていると、風が強い日などに翼がウネウネと曲がるのを見て「もうダメだ。落ちる」と暗い気持ちになった人もいると思いますが、飛行機の翼はある程度曲がるように作られており、通常の飛行で折れることはまずありません。しかし、曲がると言っても適当に設計されているわけではなく、そこには膨大なマンパワーと予算がつぎ込まれ、緻密な計算と設計の結果として安全な翼が生みだされています。そんな翼の試験風景のムービーをまとめた記事が公開されています。

Watch These 7 Airplane Wings Pushed to the Brink and Beyond
http://www.popularmechanics.com/flight/g2428/7-airplane-wing-stress-tests/

◆01:ボーイング777型機の主翼破壊試験
ボーイングが1995年に送り出した大型機、ボーイング777型機の開発風景がこのムービー。実機を巨大なテスト用施設に据え付け、大きな力をかけて翼を曲げ、実際に折ってしまう様子が収められています。

Boeing 777 Wing Test - YouTube


ボーイングの工場内に設置された、巨大なジャングルジムのような試験設備に据え付けられた777型機。手前には、試験の様子を見守る人々の姿が見えます。


翼の先端や中間部分にワイヤーを取り付け、上からぐいぐいと引っ張ることで翼の耐久性を調べるという、巨大かつシンプルな試験です。


ワイヤーが巻き上げられ、徐々に曲がってゆく主翼。


かなりの力が翼に加えられており、影響を受けて機体の胴体にはシワが生じるほど。


固唾をのんで見守る開発エンジニアたちの姿。場内にはマイクで試験の経過を読み上げる声が響いており、設計限界値を大きく超える「150%」のアナウンスに場内は大喝采。機体の高い性能が証明された瞬間です。


しかしその後も試験は続きます。もはや、あり得ないぐらいまで反り返った翼。ここまでの状態になると「落ちる」と思っても仕方ないレベル。


まるで、鳥が羽ばたいているかのような翼の角度。もちろん通常の状態でここまで曲がることはまずありません。


その後も会場には「151、152……」と、力の強さが読み上げられます。その数値が「154……」とアナウンスされた瞬間……


「ばーん!」というごう音とともに、主翼が折れてしまいました。翼の表面は大きく裂け、主翼を引っ張っていた数々のワイヤーや鉄骨が散り揺れています。


見守っていたエンジニアもこの表情。このようにして、飛行機の翼は設計どおりに壊れるように作られているというわけです。


◆02:エアバスA350 XWB型機の主翼耐久試験
次は、ボーイングと双璧をなすエアバスが開発した最新のA350 XWB型機の主翼耐久試験の様子。このムービーでは実際の破壊シーンは収められていませんが、主翼に加えて機体関連の様子も多く収められています。

Pushing the A350 XWB to the brink - YouTube


夜の空港をトーイングカーで引っ張られるA350 XWB型機。この機体は、開発段階で製造された試験機なので塗装されておらず、エンジンも搭載されていない状態です。


試験場に据え付けられたA350 XWB。巨大なパイプの台にセットされ、周囲には試験用の機材がずらりと並んでいます。


試験用施設はこんな感じ。大きく「Full Scale Static Test(フルスケール静的試験)」と書かれています。静的試験とは、飛行状態になく、地上で行われる試験を指す言葉。


主翼の表面には、無数のワイヤーをセット。


このようにして、主翼全体に力を加えることで、より正確な試験を行うようになっている模様。翼の下側にもワイヤーがセットされ、下向きの力も加えられるようです。


試験が開始すると、これまた大きな力で引っ張られて曲がる主翼。実際に折れるシーンはありませんが、全体的にまんべんなく「しならせる」ことで、応力が1か所に集中して破壊が起こるのを防いでいる様子が感じられます。


機体にセットされる赤い巨大なフレーム。この試験では、翼だけでなく機体にも上下の力を加えることで、、実際の飛行状態により近い状況が生みだされています。


機体には数千個のセンサーがセットされ、機体の状況を刻一刻と伝えてきます。


大きく持ち上がった主翼。その先端は、最大で5.2メートルも高い位置に持ち上がることがあるそうです。


試験を統括するエンジニアが機体周辺を解説。客席の窓に当たる部分には、何やらホースのようなものが取り付けられていますが……


これは、ホースを使って機体に圧縮空気を送り込むための設備。機内の空気圧を高めることで、上空1万メートルを飛行している時と同じ負荷を機体に加えながら試験を行うようになっているというわけです。


機内の様子はこんな感じ。与圧用のホースが窓にセットされている様子が見えるほか、床にはテスト用とみられる鉄製のフレームが張り巡らされています。


CGで機体の様子をチェックするエンジニア。冒頭のボーイング777型機に比べて、エアバスA350 XWB型機は約20年後に誕生した機体ということで、そのテスト技術にも格段の進化が見られるようです。


◆03 ボーイング787の疲労試験
A350 XWB型機がデビューする数年前には、ボーイング787が誕生しています。以下のムービーは、787型機の実機を使って飛行シーンを再現し、機体の疲労度を検査する試験を収めたもの。

Boeing 787 conducts fatigue testing - YouTube


先ほどまでとはうって変わり、今度は屋外に設置された試験設備。しかし機体には同じようにワイヤーやホースなどがセットされています。


この試験の目的は、強度そのものよりも実際の使用状況を再現することで、機体にどのような疲労が蓄積するのかを確認することにあります。そのため、試験には長い時間が必要とされ、テスト開始後は1日も休まずに3年間にわたる試験が続くとのこと。


最終的にこの試験では、通常の飛行機が退役するまでのフライト回数を上回る10万回のフライトがシミュレートされ、設計どおりに機体が機能するか、想定どおりの耐久性を保っているかの検証が行われるとのことです。


◆04:F16戦闘機のFSDT(Full Scale Durability Test:フルスケール耐久試験)
このような耐久試験は旅客機だけではなく、戦闘機でも行われているとのこと。以下のムービーはF-16戦闘機の製造メーカーであるロッキード・マーチンが公開したものです。

F-16 Durability Testing: 25,000 Hours and Counting - YouTube


あまり多くの様子は公開されていませんが、試験用のリグに据え付けられたF-16の翼や胴体に力が加えられている様子がわかります。ロッキード・マーチンでは長期間にわたるシミュレーション試験を実施することで、F-16戦闘機の設計寿命である8000 EFH(Equivalent Flight Hours:相当飛行時間)を超える耐久性を証明しているとのこと。2015年7月には2万5000 EFHを達成しており、さらに長期間の検査を行うことで機体の安全性と性能を検証することになっているそうです。


その様子は、以下のロッキード・マーチンのリリースでも発表されています。

F-16 Durability Testing: 25,000 Hours and Counting · Lockheed Martin
http://www.lockheedmartin.com/us/news/press-releases/2015/june/F16-durability-testing.html

◆05:2人乗りグライダー、DG Flugzeugbau DG-1000型機の主翼破壊試験
巨大な旅客機やパワフルな戦闘機とは正反対に位置する、2人乗りグライダーでも同様の試験は行われています。

bruchversuch-a (Wing stress test) - YouTube


この試験は、ドイツのグライダー製造メーカー「DG Flugzeugbau」が製造するDG-1000型機の主翼の強度を調べるためのもの。機体が小柄なので、試験用の設備もこの通りミニサイズ。


しかし、実際に行われる試験は旅客機と同じ内容です。このテスト用リグでは、主翼だけが土台にセットされ、上からワイヤーでぐいぐいと引っ張るようになっている模様。


試験が開始。翼が大きく反り返ったあげくに……


「ばん!」と大きな音をたてて折れる翼。グライダーのような小さな飛行機でも、やはり安全性のための試験は手抜かりなく行われているようです。


◆06:今度は1人乗りグライダー、DG Flugzeugbau DG-800型機の主翼破壊試験
さらに、同じメーカーの1人乗りグライダーでも同じ検査は実施されています。機体が小型になることもあり、翼長や翼弦長(=翼の太さ)は小さくなっている模様。

DG 800 Wing Stress Test - YouTube


同じ設備に据え付けられた翼。ぐいぐいと引っ張られた翼は、このあと同じように破壊されてデータが取られています。


◆07:F/A-18「ホーネット」戦闘攻撃機のフルスケール耐久試験
Australian Defense Science and Technology Group(オーストラリア防衛科学技術グループ)が1995年に実施した「International Follow-on Structural Test Project (IFOSTP:国際継続構造検査プロジェクト)の様子。

International Follow-on Structural Test Project (IFOSTP) - YouTube


F/A-18「ホーネット」は、アメリカのマクドネル・ダグラスが製造する戦闘攻撃機。アメリカ海軍・海兵隊の他にも、オーストラリア、スペイン、フィンランドなどの空軍で採用されているためか、オーストラリアでの試験が行われたようです。


テスト用のリグにセットされた機体。


機体にはさらに数々のワイヤーや油圧シリンダーなどをセットし、実際の飛行状態を再現。



どの場所かはわかりませんが、亀裂が生じている様子が収められているのにはビックリ。ひょっとしたら、機体そのものではない可能性も。


テスト用リグの上で、実際にジェットエンジンを回しているようなシーンも収められています。


このように、空を飛ぶ飛行機はさまざまな試験をクリアすることで安全性が高められています。その安全性は「一般道を車で走るよりも安全」と言われるほどなので、今後飛行機に乗る機会があっても心配する必要はなさそうです。